日産自動車はいつ復配できるのか
どうもメーカー営業マン(@makereigyouman)です。
かつて高配当銘柄として謳われていた日産自動車ですが、コロナ禍による業績悪化を受けて2020年度下期に無配、2021年度は通期で無配を発表しています。
業績悪化、無配の発表で株価も大きく下げました。この低迷により損切りした個人投資家も多いことでしょう。
私もその被害者の一人です。(なおもホールド中ですが)
今回の記事では、日産自動車は果たしていつ復配するのかを業績やこれまでの発言から予想してみたいと思います。
復配にはフリーCFの黒字化とネットキャッシュの回復が必要
日産自動車の内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)は2021年6月29日に行われた株主総会で以下考えを示しています。
復配に向けては、自動車事業のフリーキャッシュフローの黒字化とネットキャッシュが一定水準まで回復することが「最低限のハードル」
引用元:Bloomberg
フリーキャッシュフロー(FCF)とは、会社が事業活動で稼いだお金のうち、自由(フリー)に使える現金(キャッシュ)がどれだけあるかを示すもの。
ネットキャッシュとは、企業が保有する現金や預金から有利子負債を差し引いた手元資金のこと。
現状の日産自動車のフリーCF及び、ネットキャッシュはどの程度なのでしょうか。
2021年7月28日に発表された2022年3月期 第1四半期の決算内容を見ていき、復配はいつになるのか予想していきたいと思います。
2022年3月期 第1四半期キャッシュフロー
まず、キャッシュフローですが以下のような数字でした。
単位:百万円 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | フリーCF |
2022年3月期 1Q | 211,732 | ▲79,222 | ▲293,116 | 132,510 |
フリーCFは営業CF+投資CFで表されますから、一見して黒字となっています。
ただひとつ注意して頂きたいのが、財務CFが大きくマイナスとなっている点です。
この財務CFがマイナスとなっている原因として、過去の投資や資金繰りの補填で莫大な借金の返済に追われていることが考えられます。
つまり、フリーCFはプラスと言えど、借入返済に全く間に合っていないのです。
決算短信を見てみても、短期借入金と長期借入金の返済が大きく財務CFを逼迫している状況が伺えます。
とはいえ、2020年第1四半期と比較して減少はしていますから、この点は唯一の救いと言えるでしょうか。
出所:日産自動車 2022年3月期 第1四半期 決算短信
ネットキャッシュについて
続いてネットキャッシュについても見ていきます。
単位:百万円 | 現預金 | 有利子負債 | ネットキャッシュ |
2022年3月期 1Q | 1,903,448 | 7,458,375 | -5,554,927 |
※連結
先にも述べている通り、ネットキャッシュは現預金から有利子負債を引いた額から求められます。
現時点でのネットキャッシュは-5兆5,554億円となっています。
この数字から大きく借り入れを行っていることが分かると思います。
ただこのネットキャッシュがマイナスになっていること自体は特にネガティブ要素ではありません。
ソフトバンクグループなんて更に大きな借金をしていますしね。現在のような歴史的な低金利が続く中、借り入れを活用し事業拡大のための投資に振り向けることは理にかなった経営スタイルと言えます。
日産自動車は2020年度と比較して借入金は減少していますから、少しずつ返済はしていっているということですね。
ただし、このネットキャッシュがどの程度の水準であれば復配は可能となるのでしょうか、以前の水準から推測してみましょう。
過去ネットキャッシュ
年度 | ネットキャッシュ(単位:億円) |
2017年 | ▲65,324 |
2018年 | ▲66,706 |
2019年 | ▲62,650 |
2020年 | ▲55,652 |
2021年 | ▲54,454 |
2022年 1Q | ▲55,549 |
過去のネットキャッシュを見てみましたが、以前から大きく借り入れを行っており、現在までは若干回復してきていますね。
”ネットキャッシュが一定水準まで回復すること”とのことですが、どの程度を指しているのでしょうか。
カルロス・ゴーン時代から経営層は一新されていますから、保守的に考えると5兆円以下といったところでしょうか。
5兆円以下となるとかなり時間は掛かりそうです。
一方、株主に対して内田誠社長から「早期に復配目指す」と言った言葉が発せられていますから、5兆円台という水準も考えられると思います。
まとめ
- キャッシュフローは財務CF(借金返済)が逼迫しており、現時点ではマイナス。
- 手元預金を増やし、ネットキャッシュの改善を目指している状況。
- 22年度3月期は600億円の黒字予想。
以上から、個人的には早くて来期(2023年3月期)には配当を出せるようになるのではないかと予想しています。
内田社長からも「早期の復配目指す」といった力強い言葉も出ていることですし、配当が復活する日もそう遠くはないでしょう。
とはいえ、以前のような”高配当の日産”からはかけ離れたものになると思われます。
※投資は自己責任でお願いします。
Enjoy!! your investment Life!!
決算書の読み方については↓書籍がオススメです。面白くて読みやすいです。
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