VIX指数への投資は暴落時のリスクヘッジとなるか

どうもメーカー営業マン(@makereigyouman)です。

突然ですがみなさん、「VIX指数」というものをご存知でしょうか。
株式投資を少しばかりかじった人であれば知っている人も多いと思います。

今回はこのVIX指数が株式市場の暴落時においてリスクヘッジとなるのか、これを考察してみたいと思います。

VIX指数とは

そもそもVIX指数ってなんぞや?って人のために簡単に解説しておきます。

 

VIX指数とは”恐怖指数”とも言われ、株式市場の先行きに対する投資家の心理状態を示す指数のことを指します。

VIXとはVolatility Index(ボラティリティ・インデックス)の略で、米国シカゴ・オプション取引所(CBOE)が、米国株価指数S&P500を元に算出・発表しています。

このVIX指数が高いと市場参加者の心理状態はリスクオフ、つまりリスクを回避するようになり、より安全な資産へと資金が向かいやすい相場状況になります。ということはコモディティや現金よりリスクの高い株式市場は下落しやすい傾向になる訳です。

 

実際にも記憶に新しいコロナショック時にはVIX指数は大きく上昇しました。直近でも少し上がってますね。

VIX指数(CBOE SPXボラティリティ指数)  出所:Bloomberg

どのようにこのVIX指数を算出しているかについてはこの記事では触れません。というか難しくてよく分かりません。Wikipediaに記載がありますので気になる方は見てみてください。)

まあ簡単に言ってしまえば VIX指数が高い=恐怖を感じている=株式市場は荒れる みたいに覚えておけば大丈夫です。

VIX指数への投資方法

VIX指数へは投資信託やETNから普通に投資可能です。(※ETN= Exchange Traded Note(債権) 概ねETFと同義)

またCFDでも取引可能です。

国内から投資するのであれば以下銘柄が投資対象になるかと思います。

銘柄コード/ティッカー 銘柄名 経費率
1552 国際のETF VIX短期先物指数 0.396%
VXX iPath Series B S&P 500 VIX Short-Term Futures ETN 0.89%
VIXY ProShares VIX Short-Term Futures ETF 0.87%
UVXY ProShares VIX Short-Term Futures ETF 1.65%
SVXY ProShares Short VIX Short-Term Futures ETF 1.38%

UVXYは1.5倍のレバレッジが掛かっています。SVXYはショート、つまりVIX指数が上がれば下がるETNとなっています。

楽天証券やSBI証券等の大手ネット証券ではVIX指数連動ETNの取り扱いはなさそうですね。1552であれば投資できそうです。

総じて信託報酬は高めです。長期で保有するには向いていませんね。それはそのはずで、基本的に上記投資商品は短期でトレードされることをコンセプトに作られているものだからです。

VIX指数連動投資商品は長期保有には向いていない

VIX指数に連動する投資商品は、市場のボラティリティが低い状況においては徐々に価値が減少していく特性を有しています。

つまり市場がヨコヨコの状態が続けば、価値は減価していくということです。

減価についてはダブルインバースの記事で解説しています。信託報酬も高いですし、この手の投資商品はやはり長期保有には向いていませんね。

 

実際にも、国際のETF VIX短期先物指数の交付目論見書にはこう記載されています。

当ファンドの対象指数はその性質上、短期的に大きな収益機会をご提供できることもある一方、市場のボラティリティが低い状況においては徐々に価値が減少していく特性を有しており、これに伴い当ファンドも基準価額が逓減する特性を有しております。このため、基準価額が低水準となり、1口当たりの基準価額における1円の変化が与える影響が相対的に大きくなったことを受け、2017 年 9 月に、投資家のみなさまに、より適正・円滑な形で取引を行っていただけるよう受益権併合を実施いたしましたが、基準価額はふたたび逓減傾向にあります。なお、当ファンドの取引所での取引価格は、市場の需給により影響を受けますが、理論的には裁定が働くことから、基準価額から大きな乖離が生じにくい傾向にあり、同様の経過を辿っております。

引用元:国際のETF VIX短期先物指数 交付目論見書

 

いやこれどうなんでしょうか。この文章から投資商品として破綻しているような気がしてなりません。

というかよくよく見たらこの1552ですが早期償還がアナウンスされていますね。
2024年2月14日を信託終了日として繰上償還する予定、とのこと。

VIX指数への投資はリスクヘッジには向かない

結論となりますが、上に書いた通りVIX指数への投資はリスクヘッジに向きません。

VIX指数に直接的に投資することはできず、どうしても先物投資信託やETNとなってしまいます。

これらの投資商品は以下のようなデメリットがあるため、リスクヘッジにはなりにくいのではないかと考えています。

  • 通常時は漸減していく
  • 先物特有の「コンタンゴ」が生じる

上記2点は先に述べた”減価”に繋がる訳ですが、もう少し詳しく見ていきます。

通常時は漸減していく

基本的にVIX指数はS&P500指数の逆相関となるため、S&P500指数が上がっていけばVIX指数は下がっていきます。

つまり大きな株価急落をするようなイベントが無い限りは少しずつ値を下げていくのです。

またレンジ相場となっていても少しずつ価格が乖離していくため、価格がすり減っていきます。つまりヨコヨコでも価値は減っていくということですね。

従って、単純に現物を買うような感覚では保有することができないため、長期保有には向いていないのです。

先物特有の「コンタンゴ」が生じる

コンタンゴとかバックワーデーションとか懐かしいですね。原油がマイナスになった際によく飛び交っていたワードです。

先に述べたとおり、VIX指数へは直接投資はできません。となるとVIX先物となる訳ですが、これには先物特有の”コンタンゴ”が生じます。

このコンタンゴというのは決済期限が最も近い期近物が期先物に比べて安い状態をいいます。

つまりコンタンゴでは高いものを買い、安いものを売る、という状態になり、これらの差額が先物ETNの基準価額を押し下げていきます。

 

長期保有に向いていないというのは、逆に言えばピンポイントで相場が下落するタイミングに仕込まないと利益を上げられないということです。こんなんじゃリスクヘッジもクソもありませんね。

まとめ

どうでしょうか。VIX指数への投資、というか正確にはVIX指数連動投資商品への投資はリスクヘッジには向かないということが分かったと思います。

VIX指数の使い方としてはやはりあくまでもリスクオフ・リスクオンの一つの指標として捉えるくらいの方が良いのかもしれません。

市場の急落が予見できるのであれば、急落前に仕込んでおいて爆益を上げることができると思いますが、我々のような一般市民はそういきませんね。

 

投資格言に「買いは家まで売りは命まで」とあるように、基本的には買い目線で、下がったら買いというような投資スタンスで良いと思います。

 

※投資は自己責任でお願いします。

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