大地震が起こると株や為替はどうなるか
どうもメーカー営業マン(@makereigyouman)です。
先日のことですが、千葉県北西部を震源とするマグニチュード5.9の地震が観測されました。
東京23区では震度5強の揺れでした。このような強い揺れが観測されるのは実に10年ぶりのことだそうです。
2021年10月7日 千葉県北西部地震 震度分布 出所:ウェザーニュース
今回の記事では、東日本大震災等の震災級の地震が起きた場合、為替や株はどのような動きをするのかについて紐解いていきたいと思います。
ただ値動きを保証するものではありませんので、あくまでも参考レベルとしてご認識いただけますと幸いです。
目次
震災級の大地震が起きた場合の為替の動き
まず為替ですが結論としては円高方向に動いた後に、大きく円安方向に動く傾向があります。
実際に過去の震災レベルの地震が起きた際の為替の動きを見ていきます。
下のチャートは2011年3月11日に発生した東日本大震災時のドル円の動きです。
地震発生直後には一時的に円安方向へ動いたものの、1ドル83円から76円まで8円も円高方向へ触れています。
月足チャート上でも長い下髭が出ていることが分かると思います。
ドル円月足チャート 出所:株探
この円高方向の流れは地震発生から1年後の2012年3月まで続きました。
その後トレンドは転換し、2012年3月から上昇トレンドとなります。
2013年1月には1ドル91円まで円安は進行しました。
G7の介入発表で一時的に円安へ
一方、日足で見てみると地震発生直後に急激な円高に触れた後に円安方向へ動いています。
これはG7(先進7カ国)の協調介入発表によるものです。
G7は世界経済の混乱を防ぐため、主に先進国の中央銀行が協力して為替市場に介入し、適正な為替相場に戻そうとしたのです。
出所:世界経済の現状と課題
こうした震災後の円高方向への動きは東日本大震災のみならず、1995年に発生した阪神淡路大震災でも同様の値動きをしています。
阪神淡路大震災の場合は、1ドル100円台から80円台と、20円近く円台方向へ進みました。
このことから震災級の大地震が発生した場合は、基本的に円高方向へ動くと見てよいと思います。
震災直後はなぜ円高方向へ動くのか
先に述べた通り震災直後に為替は円高方向へ動きました。
本来であれば、為替相場の水準はその国の経済力を反映します。
つまり、国の経済力が強くなればその国の通貨も強くなり、逆に弱くなれば通貨も弱くなります。
震災が起きれば大きな経済的ダメージを被ります。
したがって、日本で震災が起きた場合は円安方向へ向かうのが常識となるのです。
ではなぜ円高となったのでしょうか、その主な理由については以下が挙げられます。
- リパトリエーション(本国送還)が起きた
- 地震によるリスクオフで投資家のポジションは縮小、円買い戻し外貨買いが進行した
- 日本政府が復興のため米国債売却し、米ドル→日本円に替えたため
1.リパトリエーション(本国送還)が起きた
リパトリエーションとは日本語で本国送還(送金)という意味です。
東日本大震災や阪神淡路大震災では多くの人命が失われ、壊滅的な被害が生じました。
生命保険会社や損害保険会社は保険金支払いのため外貨資産を売って自国通貨に替え、リパトリエーション(本国送金)を実施します。
こうした見方から円買いが生じ、円高が進んだという説があります。
2.地震によるリスクオフで円高進行した
また更に、上記リパトリエーションが円キャリートレードの解消を誘発し円の買い戻し、外貨売りが進行しました。
地震によるリスクオフにより、投資家はポジションの縮小に動き株を売るとともに、円キャリートレードを解消しました。
そのため、円買い戻し、外貨売りが進行したのです。
低金利の円で資金を調達して高金利の通貨で運用すること。
日本では日銀が金利をできる限り低く抑えようとする「ゼロ金利政策」が続いており、世界最低の金利水準が続く円で資金を調達して、ドルやユーロなどに両替した上で米国債などに投資する取引が多く行われていた。
震災時には円キャリートレードの残高は拡大しており、市場のポジションは円売り・外貨買いに傾いていた。
3.日本政府が復興のため米国債売却し、米ドル→日本円に替えた
これはイメージしやすいと思います。
日本政府は世界でも屈指の債券国です。
2020年末時点では、対外純資産額が356兆9,700億円と発表されており、日本は30年連続で世界最大の純債券国なのです。
出所:日本経済新聞「20年末の対外純資産356兆円 30年連続で世界最大」
これらの債券を復興のため一部売却します。
その際、日本円へ替えるため円買いが生じ、円高へと繋がります。
以上の理由から震災直後の為替市場は円高方向へ進んだと言われています。
ただし、先に述べましたが円高方向へ進んだ後、為替は大きく円安方向へ進みます。
なぜ円高から円安に戻ったのか
なぜ一度円高方向へ進んだ為替はその後円安に戻ったのでしょうか。
その理由は以下3つです。
- G7による協調為替介入
- 日本国内の財政赤字の深刻化
- 貿易収支の悪化
G7が約10年半ぶり4に実施した協調介入の効果やインフレ沈静化に向けた金融引締めの流れ、日米金利差、特に米国の金利上昇による円売り・ドル買い圧力、米国の比較的好調な経済指標を背景とする FRB の利上げ観測から円売りが加速しました。
また加えて、震災による日本国内の財政赤字の深刻化や、生産設備の崩壊によって輸出の低迷と輸入の増加が生じ貿易収支が悪化した背景もあり円安が進行しました。
東日本大震災直後のチャートをもう一度見てみましょう。
2012年3月頃からトレンドは転換し、震災から約2年後の2013年1月には震災前の1ドル82円から91円へと大きく円安に動きました。
ドル円 月足チャート 出所:株探
株価はどのような動きをするのか
一方で、株式市場はどのような反応をするのでしょうか。
もうお分かりだと思いますが、日経平均は震災後暴落となりました。
日経平均株価 月足チャート 出所:株探
下落トレンドは震災から2011年11月末まで続きました。8ヶ月間も下落を続けたのです。
したがって、震災級の大地震が来た場合には日本の株式市場は暴落すると見ていてよいと思います。
世界の主要株式指数の動き
日経平均は下げましたが、海外の主要株式指数はどのような動きをしたのでしょうか。
下図は東日本大震災直後の主要株式指数のチャートです。
出所:世界経済の現状と課題
世界の主な株式市場では、東日本大震災の直後に株価が一斉に下落しましたが、4月末には連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見において、大幅な金融緩和政策を維持することを示したことを受けて、株価は続伸となりました。
下図は震災前と比較して株価の回復状況を表したものです。
見ての通り、震災国である日本のみが取り残されていることが分かります。
出所:世界経済の現状と課題
まとめ・所感
最後にまとめです。
- 震災直後、為替は円高になった後、大きく円安になる
- 日経平均株価は暴落となる
- 地政・地形学リスクを踏まえて投資するべき
今回の記事では、震災レベルの大地震が起きた場合の株・為替の動きについて触れてきました。
これを書いていて思いましたが、地政・地形学的なリスクを踏まえた上で投資先を選考する必要があるかもしれません。
特に日本は地震大国であり、M8~9クラスの南海トラフ巨大地震が今後30年以内に80%以上の確率で起こると予測されています。
そのようなリスクがある上で果たして好適な投資先となりうるのか、もしくはそれを見越して海外へ資産を逃しておくのか、それはもちろん自己責任でお願いしたいところです。
何れにせよ、震災時は株価や為替の動きになんて着目せず、一国民として援助や人命を助けることに力を注ぐべきであると思います。
※投資は自己責任でお願いします。
Enjoy!! your investment Life!!
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