【MVIS】VR・LiDAR関連企業「マイクロビジョン」が気になる(米国株)
どうもメーカー営業マン(@makereigyouman)です。
この間AR関連企業の「WiMiホログラム・クラウド(WiMi)」を取り上げましたが、ARといいVRといい、なんだか未来感があって面白いですよね。
今回取り上げるのは似てるような非なる企業「マイクロビジョン(MVIS)」です。
マイクロビジョンはVRや自動運転のセンシング技術LiDARに関連する技術を開発する企業です。
以下マイクロビジョンについて紐解いていきたいと思います。
目次
VR関連企業「マイクロビジョン」
基本情報
社名 | マイクロビジョン (英文社名:Microvision Inc.) |
概要 | マイクロビジョンは米国のテクノロジー会社。ミニチュアレーザーディスプレイや画像エンジン制作用に独自の「PicoPスキャンテクノロジー」を開発する。同社の「PicoP」技術は2次元のMEMS、レーザー、光ファイバー、および電子を使用して、ビデオや静止画像を制作する。ライセンス契約を通じて、家電、自動車を含む広範な市場のOEMに「PicoP」技術を提供。 |
本社所在地 | 6244 185th Avenue N.E. Suite 100 Redmond, WA 98052 USA(アメリカ合衆国ワシントン州レドモンド) |
設立年月日 | 1993年5月 |
従業員数 | 107人(2021年1月現在) |
業種 | IT・通信 |
上場市場 | NASDAQ(ティッカー:MVIS) |
上場年月日 | 2020年4月 |
時価総額 | $1.097B(1,138億円) 2021年1月26日時点 |
参照元:Yahoo! Finance
まずはマイクロビジョンの基本情報を見てみます。
創業は1993年で、ワシントン大学発祥のベンチャー企業です。
概要にもある通りマイクロビジョンはモバイル向け超小型ディスプレイ及び、画像エンジン、独自の光制御技術「PicoPスキャンテクノロジー」を開発する企業です。
PicoPスキャンテクノロジーについては後述しますが、この技術はARやVR、MR用のディスプレイエンジンや、自動運転に必須なセンシング技術「LiDAR」にも使われます。
EV(電気自動車)にも使われる可能性があり、非常に夢あふれる技術を保有している訳ですね。
ちなみに本社建屋はこんな感じ。(3Dイメージ)
出所:Google Map
テキサス・インスツルメンツの建屋を間借りしているのでしょうか。同じ建物内にMGC Technicalも入っていますね。
まだ従業員107人の小規模企業ですが、時価総額は1,000億円を超えています。かなり割高だと思いますがそれだけ市場の期待も大きいと言えます。
独自技術「PicoPスキャンテクノロジー」
ここではマイクロビジョンの独自技術「PicoPスキャンテクノロジー(以下PicoP)」について簡単に解説していきます。
出所:Microvision
「PicoP」とは、超小型のMEMSミラーを利用して、変調されたレーザービームを走査するスキャンエンジンのことです。
ざっくり噛み砕くと、超小さい鏡を使ってレーザービームを操作する技術のことです。
このPicoP技術は3Dセンシングやインタラクティブディスプレイ、プロジェクションディスプレイなどに応用することが可能です。
マイクロビジョンのDNAはこのMEMSミラーにあるといって過言でありません。
MEMS(メムス)Micro Electro Mechanical Systemsの頭文字を取ったもので、機械要素部品、センサ、アクチュエータ、電子回路を一つのシリコン基板、ガラス基板、有機材料などの上に微細加工技術によって集積化したデバイスのこと。
例えばセンサなどは、電気的性質なものと一部機械的性質を持ったものが存在します。それらをひとまとめにしてパッケージ化したものがMEMSです。
↑のような空中に浮かび上がるディスプレイをSF映画とかで見たことありますよね。
PicoP技術を応用すれば、こういった空中に浮かび上がるディスプレイの実現も近いかもしれません。
PicoPディスプレイのメリット
出所:Microvision
- 小型
- 低消費電力
- 高輝度・高解像度
- タッチ機能
- フォーカスフリー(曲面にぼけずに投影可能)
こういったメリットがあるため、VRやAR、MRなどの小型デバイスへの応用が期待されています。
特にスマートグラス等のデバイスに活きてくるのは小型且つ低消費電力、更に曲面にもぼけず投影できるところですね。
出所:Google
実際にもこの小型ディスプレイはマイクロソフト(MSFT)のスマートグラス「HoloLens 2」にコンポーネント提供しています。
わずか4.4gの超小型ディスプレイだそうです。凄いですね。
LiDARへの応用が期待
出所:Microvision
無論、AR/VR/MRへの応用も期待されていますが、LiDARへの応用期待の方が大きい気がします。
車載向けですから、市場の大きさも比ではありません。
LiDAR(ライダー)とは
そもそもLiDARってなんだ?って人のために簡単に解説しますが、LiDARは光を用いたリモートセンシング技術の一つです。
英語でLight Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Rangingの頭文字を取ってLiDARと略されます。日本語で「光検出と測距」または「レーザー画像検出と測距」という意味です。
まあ難しいことはさておいて、ざっくり言うと光で対象との距離を測るってことです。
車同士での衝突回避や人など物体への回避に使われるセンシング技術ですから、自動運転にとって重要な要素の一つです。
出所:Microvision
LiDARの種類いろいろ
一口にLiDARと言っても方式の違いにより様々存在します。
- ソリッドステート式
- MEMS式
- フラッシュ式
- フェーズドアレイ方式
主流になりつつあるのがソリッドステート式です。
ソリッドステート式は検出範囲が狭くなるなどのデメリットがある一方で、モーターなどの駆動部が不要なため製造コストの削減ができるというメリットがあります。
今後の自動運転車にはソリッドステート式が採用されていくことが予想されているようです。
マイクロビジョンはMEMSミラーを搭載したソリッドステート式LiDARの開発を行っています。
ちなみにマイクロビジョンのLiDARモジュールがこれ↓
出所:Microvision
これはコンシューマー向けのLiDARモジュールです。(車載向けモジュールの写真はなかった。)
他のモジュールと比較して費用が安く、小型なところが特徴だそうです。
マイクロビジョンの車載向け3D-LiDAR
出所:Microvision
重要そうな部分のみ抜粋すると、
- 既存レーザー技術を使用して、日光の下200メートル以上の範囲内で検出可能。
- 周囲の光除去機能を備えたソリッドステート式MEMSスキャニングLiDAR。
- 製品サンプルは2020年第4四半期に予定。
尚、2020年12月29日に発表された内容だと、車載向けLiDARの開発は少し遅れているようで2021年4月にサンプル完成予定となっているとのことです。
少し心配なのは、Factors likely to drive demandが他力本願なところ…。
マイクロビジョンの業績
収益推移
見ての通り売上高はデコボコ、万年赤字企業です。
年々赤字幅が拡大しているようにすら見えます。
2020年12月には1,300万ドルの普通株式売却を発表しており、売却資金は運転資金等に使用予定のようです。
従来は普通株式の発行で資金調達しなんとか生き延びてきた模様です。
財務状況はかなり厳しい状況が伺えます。
2020年四半期
2020年に入っても赤字体質は変わりません。
とはいえ、前年同期で比較すると赤字幅は縮小傾向になっています。
マイクロビジョン復活の兆しが見えてきたか?
キャッシュ・フロー
営業CF・投資CFともに赤字、財務CFは株式発行や売却で工面している部分です。
借入金は増えていないようですのでその点問題なさそうですが、新規株式が発行されるとその分1株辺りが簿価しますので、株主としては喜ぼしいことではありません。
フリーCFは依然としてマイナスが続いています。
MVIS株価推移
MVIS 週足チャート 出所:Stock Charts
2020年初頭は消えかかっていた株価ですが、ここ最近になって株価は反転しています。
テクニカル的には50日移動平均線が200日移動平均線を上抜け、ゴールデンクロスを描いています。なかなか良いチャートだと思います。
ただ、特段なにか材料がある訳ではありませんので実力が株価に反映されているかと言えば懐疑的です。
恐らく、バイデン勝利→クリエネ推進→EV関連→LiDAR関連と思惑買いが進んでいるものと推測します。
まとめ
最後にまとめです。
- マイクロビジョンはMEMSミラーをコアテクノロジーにARやVR、MR、LiDAR等への用途が期待。
- 新規車載向けLiDARモジュールは2021年4月にサンプル完成予定。
- 財務面はかなり厳しい。株式発行や株式売却で資金を工面している。
- 株価は期待先行気味。
EVの躍動でLiDAR市場は拡大が見込まれています。LiDARのスタートアップ企業も70社、はたまた100社以上存在すると言われ、競争はかなり激しいものと思われます。
その中で果たしてマイクロビジョンは戦っていけるのか、今年に完成するモジュールサンプルが気になるところです。
一方で、EV最大手テスラのCEOイーロン・マスクはLiDAR不要説を唱えており、今後のLiDAR自体がどうなっていくのか不透明な部分があったりします。
肝心の株式のBuy or Stayについてですが、正直ここはなんとも言えません。
車載向けLiDARの発表を待ってからでいいと思いますが、それだと遅いのが株式市場というもの。
期待感を込めて今のうちに仕込んでおいてもいいかもしれませんが、それは博打的な投資だと認識する必要があるでしょう。
何れにせよ、ポートフォリオのほんの一部、少額購入する程度が無難かと思われます。
※投資は自己責任でお願いします。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません