純資産残高トップの投資信託がヤバイ

どうもメーカー営業マン(@makereigyouman)です。

最近目についたのですが、Yahoo!ファイナンスに掲載されている投資信託 純資産残高ランキングトップ(2022年3月19日時点)の「AB・米国成長株投信Dコース(H無) 予想分配金」について少しばかり調べてみました。

なんとなくですが、昨今の米国株ブームに乗った証券会社の闇が垣間見えた気がします。

 

尚、Yahoo!ファイナンスの投信純資産残高ランキングはこちらで見ることができます。

AB・米国成長株投信Dコース(H無) 予想分配金とは

始めに投資信託「AB・米国成長株投信Dコース(H無) 予想分配金」について紐解いていきます。

基本情報

名称 アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信
Dコース毎月決算型(為替ヘッジあり)予想分配金提示型
運用会社 アライアンス・バーンスタイン株式会社
運用方針 主として成長の可能性が高いと判断される米国普通株式に投資を行い、信託財産の成長を図る。運用にあたっては、企業のファンダメンタルズ分析と株価バリュエーションに基づく銘柄選択を基本。実質外貨建資産については、原則として為替ヘッジを行わない。ベンチマークはS&P500株価指数(配当金込み、円ベース)。ファミリーファンド方式で運用。毎月15日決算。
設定日 2014年9月16日
償還日 2034年6月15日
決算頻度 年12回
分配金利回り 27.16%
信託報酬 1.727%
購入時手数料 3.3%

参照:Yahoo!ファイナンス

まずは基本情報です。これを見ただけで「あれ?」って思う人も多いんじゃないでしょうか。

そもそもS&P500指数をベンチマークとしている割には信託報酬がバカ高いですね。
まあアクティブファンドなのでこれくらいの信託報酬になってしまうのは致し方ないのかもしれませんが。

それにしても購入時手数料が3.3%も掛かります。まさにボッタクリファンドとはこのことではないでしょうか。

 

またどうやらこの投資信託ですが大枠の「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」があり、そのうちA・B・C・Dと4つのコースがあるようです。純資産残高1位を取っているのはDコースです。

各コースについては以下の通りです。

  • Aコース:為替ヘッジあり
  • Bコース:為替ヘッジなし
  • Cコース:毎月決算型(為替ヘッジあり)予想分配金提示型
  • Dコース:毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型

AとB、CとDは為替ヘッジの有無で分別されている訳ですが、A,BとC,Dは分配方針で分けているみたいですね。

A,Bは6月、12月の年2回決算時のみ分配金が支払われますが、C,Dは毎月分配型となっています。

昔から何度も言っていますが毎月分配型の投資信託はオススメしません。
昔流行りましたが日本人はこうした投資信託をまだ買っているんですね。本当に懲りませんね。

直近分配金

分配金つながりということで直近の分配金履歴を見てみます。

年月日 分配金(1口当り)
2022年3月15日 0円
2022年2月15日 100円
2022年1月17 日 200円
2021年12月15日 300円
2021年11月15日 300円

2021年は200円の月が3回のみ(1,3,5月)であとは300円の分配金が支払われていました。
但し、2022年に入ってからは分配金の減少が続いていることが分かります。

最近の3月ではなんと分配金は支払われていません。
2022年に入ってからは株式市場の下落が続いていますからその影響をモロに受けているものと推測します。

 

また一方で直近の分配金利回りは27%超えと訳わからん利回りになっています。

恐らくですがこの資産残高の背景には、高い利回りに加えて毎月不労所得が入りますよ、といった営業文句でこの米国株ブームに乗って買わされた人が多くいるのではないでしょうか。

タコ足配当になっている

また当該投資信託から支払われる分配金はタコ足配当(分配)となっています。

これは交付目論見書にもはっきりと記載されています。

出所:AB・米国成長株投信 交付目論見書

以前にも高配ETFのQYLDでも記事にしましたが、タコ足配当から支払われる分配金では自身の投資金額から税金が差し引かれるため、投資先としてオススメは全くできません。

こうしたタコ足配当(分配)は毎月分配型の投資信託に多いと言われていますね。まさにこの投資信託が該当します。

一時期毎月分配を謳ったクソみたいなタコ足配当投資信託が流行りましたが、資産は流出し今やもう見る影もありません。また同じ過ちを繰り返しているのでしょうか。

組入銘柄上位10位

念の為組入銘柄も見ておきます。

順位 銘柄 比率
1位 アルファベット 8.1%
2位 マイクロソフト 8.0%
3位 アマゾン・ドット・コム 5.3%
4位 VISA 5.2%
5位 クアルコム 4.5%
6位 ユナイテッドヘルス・グループ 4.4%
7位 ゾエティス 3.7%
8位 コストコ・ホールセール 3.6%
9位 バーテックス・ファーマシューティカルズ 3.2%
10位 エヌビディア 3.1%

2022年2月28日時点

ちなみにS&P500株価指数の組入上位10銘柄は以下の通りです。(eMAXIS Slim米国株式(S&P500)参照)

順位 銘柄 比率
1位 アップル 6.5%
2位 マイクロソフト 5.8%
3位 アマゾン・ドット・コム 3.5%
4位 アルファベット(クラスA) 2.1%
5位 アルファベット(クラスC) 1.9%
6位 テスラ 1.7%
7位 エヌビディア 1.6%
8位 バークシャー・ハサウェイ(クラスB) 1.5%
9位 メタ 1.3%
10位 ユナイテッドヘルス・グループ 1.2%

2022年2月28日時点

だいぶ違いますね。

AB米国成長株投信はS&P500株価指数にベンチマークしているとはいえ、組入銘柄に違いはあるようです。

ユナイテッドヘルスやゾエティス、バーテックス・ファーマシューティカルズ等のヘルスケア企業で比較的多く占められています。

リターン

続いてリターンを比較してみましょう。
同じS&P500株価指数をベンチマークとしているインデックファンドのeMAXIS Slim米国株式(S&P500)と比較してました。

リターン 1年 3年(年率) 5年(年率)
AB・米国成長株投信Dコース 21.75% 21.26% 19.32%
eMAXIS Slim米国株式(S&P500) 25.93% 19.46%

参照:モーニングスター

リターンは比較的悪くはない印象です。3年(年率)ではAB・米国成長株投信の方が上回っていますしね。

ただし、信託報酬が段違いですので長く持てば持つほど複利の力で信託報酬の差が如実に現れます。

もう一度信託報酬について見てみますがその差は歴然です。

  • AB・米国成長株投信Dコース    :1.727%
  • eMAXIS Slim米国株式(S&P500):0.0968%

約18倍も信託報酬の差がありました。

 

ですから結局のところ下手にこうしたアクティブファンドを買うのではなく、素直にインデックスファンドに投資しておけばいいんでないの、ってことです。

AB・米国成長株投信は買付手数料(3.3%)もありますからね・・・。
買付時の金額やランニングコストから考えるとなぜこのアクティブファンドを皆さん購入しているのか不思議でなりません。

基準価額推移

AB・米国成長株投信 Dコース 基準価額 5年推移 出所:Yahoo!ファイナンス

先に述べたとおり毎月分配型の投資信託であり、タコ足分配を行っているため基準価額はほぼ横ばいとなっています。

チャート的には9,000円~13,000円の間をうろうろしている感じですね。

まとめ

最後にまとめです。

  • AB・米国成長株投信Dコースは毎月分配型で高い分配金利回りを生むがタコ足配当の投資信託
  • トータルリターンはそこそこ良い
  • ただし、信託報酬等のコストを加味するとインデックスと比較してアンダーパフォームする可能性あり

投資目的が分配金であればまあ選択の余地としてありなのかもしれませんが、なにせ信託報酬が高すぎるのでオススメはできません。
個人的には投資対象としては蚊帳の外です。持っての他ですね。

 

また重複しますが純資産から分配金を出しているタコ足分配です。

少しばかりの金融知識があればこの投資信託は買わないと思います。私はこの辺りに銀行や証券会社の闇を感じます。

純資産残高1位の投資信託の信託報酬が1.7%あるのですから、運用会社はボロ儲けですよね。

純資産残高が現在1.7兆円ありますから、単純計算で年間289億円の収益を生むことになります。
もちろん販売会社や信託銀行にも振り分けられますから全部が全部運用会社にいく訳ではありませんけどね。

 

また一方で最近の投資ブームは凄いものがあります。
全く投資に興味がなかった私の友人までも投資を始めようとしています。

こうした背景があるなかで、銀行や証券会社は当該ファンドのような投資信託を売りつけているような気がしてなりません。

毎月分配や不労所得と言ったキラーワードに騙されないでほしいものですね。少し勉強をすれば分かることです。

 

マネーリテラシーを高めたいものなら私のブログをこれからも要チェックだ…。

 

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