【XM】体験評価プラットフォームを提供するQualtrics(クアルトリクス)

2021年11月9日

どうもメーカー営業マン(@makereigyouman)です。

今回は個人的に気になる米国企業「Qualtrics(クアルトリクス)」について記事にしたいと思います。

 

SFA(営業支援システム)ではセールスフォースが台頭しており、今や企業にはなくてはならないITインフラになっているかと思います。

後述しますがこのQualtricsもセールスフォースと同じく、企業にはなくてはならないツールを提供するITインフラとなりうる可能性を秘めているかもしれません。

基本情報

まずは基本情報から見ていきましょう。

社名 クアルトリクス (英文社名:Qualtrics International Inc.)
概要 クアルトリクスは、米国のワシントン州シアトルとユタ州プロボに共同本社を置き、エクスペリエンス マネジメント プラットフォームを提供する。
本社所在地 333 West River Park Drive Provo, UT 84604 United States
設立年月日 2002年
従業員数 4,030人(2021年6月時点)
WEBサイト www.qualtrics.com
業種 ソフトウェア・ITサービス
上場市場 NASDAQ(ティッカー:XM)
上場年月日 2021年1月28日
時価総額 $21.9B(約2.4兆円)2021年11月9日時点

参照元:Bloomberg

クアルトリクスはエクスペリエンス マネジメント プラットフォームを提供する企業です。

はい、これだけではよく分かりませんよね。クアルトリクスがどんなツールを提供しているのか、もうちょっと掘り下げていきたいと思います。

クアルトリクスの体験評価プラットフォーム

クアルトリクスを利用すると、ビジネスをする上で重要な”エクスペリエンス(体験)”がわかるデータを取得することができます。

この顧客体験を定量的に測る手法はNPS(ネットプロモータースコア)調査と言われ、推奨度合いを10段階で評価するアンケートを顧客から取得し、その結果を元に区分することで顧客体験の測定を行います。

NPSにより以下のようなことが可能になります。

  • 顧客をロイヤルティレベルでセグメント化
  • 満足しておらず、離脱の可能性がある顧客を特定
  • 単一の顧客指標を軸にして最適化
  • 業界及び競合他社の基準スコアと比較可能なベンチマーク
  • 顧客ロイヤルティをあげるための要因を解明
  • 製品、サービス、及びカスタマージャーニー全体の改善を実施

このNPSは経営指標の一つとして採用する企業も増えてきており、指標を重要視する流れができつつあるようです。

出所:Qualtrics

こうしたエクスペリエンス(体験)を抽出し、分析・集計して、そのデータを分かり易い形で表示するプラットフォームを提供しているのがクアルトリクスという訳です。

 

ちなみこの”体験”とは具体的にどのようなものなのでしょうか。

クアルトリクスの導入事例を元に説明していきます。

プラットフォーム導入事例(ジェットブルー航空)

まずは↓の動画を見ていただいた方がイメージは付きやすいかと思います。

2分程度の動画ですが、見たくない、または見れないという人のためにざっくり書き起こすと以下のような感じ。

2007年2月に荒天となった際、ジェットブルー航空はこれまでにない航空機の遅延を余儀なくされた。

これにより多くの乗客が立ち往生となった。

そこで生まれたのが乗客の権利を守るということ。

乗客の権利を守るにはニーズを知り、理解する必要があった。

ここでクアルトリクスが活用できることを知った。

ジェットブルー航空ではアンケートで得られる批評を重要視し、その結果はリアルタイムで現場のマネージャーに伝えられる。

これにより乗客の権利は守られ、満足度向上につながる

このような顧客の体験を一元管理できるクラウドプラットフォームをクアルトリクスが提供しているという訳です。

なんとなくイメージはついたでしょうか。

大まかなフローを図にしてみると以下のような感じです。

 

実際、顧客の望む体験と企業が考える体験にはギャップがあると言われており、これが顧客と企業間の結びつきを弱くしています。

クアルトリクスを活用することでこのギャップを埋め、体験を最大化することが可能です。

出所:Qualtrics

クアルトリクスの4つの体験管理プラットフォーム

クアルトリクスは、①顧客、②従業員、③製品、④ブランド の4つを対象とした、「CustomerXM」「EmployeeXM」「ProductXM」「BrandXM」という体験評価プラットフォームを提供しています。

顧客のみならず、自社の従業員や製品、ブランドに対してエクスペリエンス(体験)が分かるデータを取得することができるという訳ですね。

これによりクアルトリクスを活用できる業種が広がり、サービス業のみならずメーカーやIT、金融等、さまざまな企業への展開が予想できます。

出所:Qualtrics

 

実際にもクアルトリクスを利用する企業は増加しており、全世界で13,000を超える企業がクアルトリクスを利用しています。

国内企業ではトヨタやソニー、海外大手ではコカ・コーラやフィリップス、3M、ファイザー等が利用しているようです。

日本国内の導入実績は200程度とまだ多くありませんが、2021年10月には日本市場の拡大を推進し、日本にデータセンターを開設したとのこと。

出所:Qualtrics

クアルトリクスを採用する企業の背景

クアルトリクスを採用する企業の背景として、以下のような課題があります。

  • NPS調査実施からフォローに時間がかかってしまう。
  • 集計や分析に時間・稼働が取られる。
  • 調査結果、取集データの共有ができていない。
  • 成果、結果の評価の把握が難しい。
  • 収集データの活用がうまくできていない。

出所:Qualtrics

企業でNPS調査を行い、単独で分析~解析~フォローを実施しようとすると膨大な費用や人的コストが発生します。

これらを支援できるプラットフォームを提供しているのがクアルトリクスという訳です。

 

いかがでしょうか。なんとなくクアルトリクスのビジネスがイメージできましたら幸いです。

以下からはクアルトリクスの業績等、各種データを見ていきます。

クアルトリクス(XM)各種データ

売上高・売上高増加率

売上高は堅調に増加しています。

ただ直近の増加率は低下傾向になっています。

クアルトリクスのビジネスモデルはストックビジネスと言っていいでしょうから、一度契約したら契約が終わるまでその対価を得られますからそこも強みといっていいと思います。

2021年度の通期予想売上高は$1,056~1,058Mとなっており、売上高拡大が予想されます。

売上高内訳

売上高の内訳としては75%がサブスクリプション、サービス・その他が25%となっています。

やはりストックビジネスです。
契約数が積み上がっていけば売上・利益ともに増加していく傾向にあると考えています。

当期純利益及び利益率

2017年度には黒字を達成していますが、その後3期連続で赤字となっています。

しかしそこはまだIPOされたばかりの新興企業でありますから、致し方ないと思っています。

とはいえ赤字額が結構大きいのが心配ではあります。

EPS

赤字ですからもちろんEPS(1株当たり利益)もマイナスとなっています。

一方で直近決算のEPSも見てみましょう。

21FY Q3

EPS:$0.01(予想-$0.02)
Q4予想:-$0.04~0.02
通期予想:$0.02~0.04

2021年度の通期予想EPSは黒字予想となっており、今年度は黒字化が見込めます。この結果を受けて株価は+7%上昇しています。

株価推移

finviz dynamic chart for  XM

クアルトリクス(NASDAQ:XM)チャート 出所:finviz

2021年1月28日にIPO(新規株式公開)され、IPO価格の$30から上昇し、当日は+52%高の$45.5で引けています。

その後数日は株価の上昇を見せましたが、一旦下落に転じ現状は$40台が居心地の良い価格帯になっているようです。

黒字化し安定した収益を生み出す体質が実現すれば、更に株価は上昇を見せるのではないかと考えています。

欧州最大のソフトウェア企業SAPが株式を保有

クアルトリクスは2019年にヨーロッパ最大級のソフトウェア企業SAP(NYSE:SAP)が買収を行っています。

当時の買収金額は約80億ドル(約9,000億円)で、現在の時価総額は約220億ドル(約2.4兆円)ですから結果的にこの買収は成功だったと言えます。

ちなみにSAPはクアルトリクスの発行済普通株式数のうち、84.1%を保有しています。

まとめ・所感

  • クアルトリクスは体験の一元管理できるプラットフォームを運営。
  • エクスペリエンス マネジメントプラットフォームは必須のITインフラとなりうる可能性。
  • ストックビジネスで売上高は拡大中。21年度は黒字化予想。

地味な銘柄ですがこうした企業は個人的には長期で保有していきたいものの一つです。

また一方で今やITインフラの一つとなっているセールスフォース(NYSE:CRM)の時価総額は約3,000億ドルであり、クアルトリクスは現状その約10分の1程度の時価総額です。

最近ダウ平均に採用されたセールスフォースに匹敵するまでは懐疑的ではありますが、現状の2倍~5倍くらいまでは伸びるポテンシャルは秘めているかもしれません。(感覚的な予想ですが)

 

あとは親会社のSAPが手放したりせず、長く安定株主で居てくれるといいんですけどね。

いずれにせよ、今後の主流クラウドサービスの一つになっていく可能性があると考えていますから、要チェックの銘柄です。

 

※投資は自己責任でお願いします。

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